BARFOUT!
2011/08
BARFOUT! / 9月号「纏う。竹下玲奈」
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 9月号「纏う。竹下玲奈」
Photography : 宮原夢画(Muga Miyahara Fotografia)
Styling : 小林新(高橋事務所)
Hair : JUNYA(高橋事務所)
Makeup : 遠藤真稀子(高橋事務所)
Text & ArtDirection : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design : 三森由美(united lounge tokyo)
文 鈴木利幸
纏う。
洗いざらしのものを、
あるべきものを、あるべき姿で纏う。
竹下玲奈は年齢を重ねることと、
キャリアを重ねることがとても心地いい。
違う意味でアイコン化している人はたくさんいる。
それは、モデルという職業でありながら、
似合う、似合わないとは関係ないところでアイコン化される。
いま世の中のコマーシャルや雑誌を見ていると
あるべきところに、竹下玲奈はいるように思える。
鹿児島県奄美大島出身。
てっきり都会の人からと思っていたら、
自然の中で育った人だった。
モデルは、痩せなきゃいけないというシンプルな悩みで
20歳のころには辞めようと思ったこともあったという。
竹下玲奈は、なんとも言えない話し方をする。
それを空気感と言うと、簡単なのだが。
なんだか、昔から知っていたかのような
距離のつめ方を相手にするような人だ。
それが、いやではない。
「話すのは、あまり得意じゃないんです」
映画やCMにももちろん出ているが台詞のない役。
だから、竹下玲奈は写真の中で会話する。
写真の中で年齢を重ねる。
職業は?と聞くと、「生涯、モデル」そう答えた。
だから、いまの自分の見え方について、日々考えているそうだ。
悩んでいることに悩むことも多いという。
おそらく、その悩みは永遠に途切れることがないようにも思う。
それは、モデルというマーケットにおける自分の立ち位置?
いや、もうモデルという職業の人ではないのかな。
大丈夫。竹下玲奈は、洋服を着る以上に
押しつけではない何かを着ているから。
格好つけないひと。
竹下玲奈の印象を聞かれたら、そう答える。
裏表がなく、モデルという職業に対してプロフェッショナルだ。
ある写真家との記録を写真集にまとめたものを見せてもらった。
彼女の心はいつも、裸だ。
2011/08
BARFOUT! / 9月号 KREVA
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
Barfout! / 9月号 KREVA 【表1 FRONT COVER STORY1 KREVA】
Photography : 菊地 哲(dynamic)
ArtDirection : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design of chief : 三森由美(united lounge tokyo)
Graphic Design : 仲山慎哉、林愛子、成瀬真也奈(united lounge tokyo)
2011/07
BARFOUT! / 8月号 AKIRA
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 8月号 AKIRA 【表1 FRONT COVER STORY1 AKIRA】
Photography : 田島一成(MILD)
Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design of chief : 三森由美(united lounge tokyo)
Graphic Design : 仲山慎哉、林愛子、成瀬真也奈(united lounge tokyo)
2011/07
BARFOUT! / 6月号 妻夫木聡 × 松山ケンイチ
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 6月号 妻夫木聡 × 松山ケンイチ【表1 FRONT COVER STORY1 妻夫木聡 × 松山ケンイチ】
Photography : 中村和孝(まきうらオフィス)
Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design of chief : 三森由美(united lounge tokyo)
Graphic Design : 仲山慎哉、林愛子、成瀬真也奈(united lounge tokyo)
2011/07
BARFOUT! / 8月号「纏う。伊藤歩」
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 8月号「纏う。伊藤歩」
Photography : 宮原夢画(Muga Miyahara Fotografia)
Styling : 小林新(高橋事務所)
Hair : JUNYA(高橋事務所)
Makeup : 遠藤真稀子(高橋事務所)
Text & ArtDirection : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design : 三森由美(united lounge tokyo)
文 鈴木利幸
纏う。
ゆっくり、好きなものをあつらい
大切に纏いつづける。
「映画がよかった時代」という話をよく聞く。
つまり、もの作りが丁寧に行われていた時代のことをさすのだと思う。
時間をかけ、女優もスタッフも丁寧に育てられた時代といういい方もできる。
伊藤歩
そういう時代の最後に現れた女優。
新しいムーブメントという呼ばれ方というよりは
さも、昔からいたかのような存在感が彼女にはあるように思う。
ただ、不思議と笑いながら話す彼女に女優であることを感じることはあまりない。
でもレンズを通して見ると彼女は、まさに女優の顔になる。
つくづく女優は、美しさを競う職業ではないことを教えてくれる。
「18年女優やってきてどう?」
ざっくりとした質問に彼女は、「ようやく」という答えをくれた。
19歳の時にニューヨークに渡ったそうだ。
いまでいう自分探しのようなものだ。
支え、支えられ、助け、助けられ。
そういったものの営みの中に女優という職業もあり
それは特別な職業ではないことを知ったのだろう。
彼女の祖母の家は岩手県大船渡市にある。
高齢で一人暮らしの祖母を心配して
今回の震災よりずいぶん前から彼女は岩手と東京を
行ったり来たりする生活をしていた。
もちろん岩手の地元の人たちも彼女がくるのを楽しみにしている。
今年から朝の連続ドラマにも出ていたりするから
岩手のみなさんも嬉しいのだろうか。
そして、今回の震災が起こった。
言葉にすることも不自由なことを少しだけ、伊藤歩は話してくれた。
それは、被災することの現実は、ブラウン管を通してみるものと
違う部分があること。そして、岩手の地元のひとたちは、
伊藤歩が訪れることで、少しだけ嬉しそうにしてくれたこと。
これからは?
自分以外の人のために、そう答えた。
女優という職業も何か社会に対して貢献できるはずだ、と。
伊藤歩という女優は、普通だ。
女優に対して普通という言い方は失礼なのかもしれない。
でも普通である彼女は、何者にもなれる。
もっと普通な人にも、もっとクレイジーな人にも。
役をこなす度に成長している実感があるという。
役の数だけ、彼女は人生を生きている。
その度、自分以外の何かを見つけながら。ひろい集めながら。
2011/06
BARFOUT! / 7月号 前田敦子
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 7月号 前田敦子【表1 FRONT COVER STORY1 前田敦子】
Photography : TAKAKI_KUMADA
Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design of chief : 三森由美(united lounge tokyo)
Graphic Design : 仲山慎哉、林愛子、成瀬真也奈(united lounge tokyo)
2011/06
BARFOUT! / 7月号「纏う。RILA」
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 7月号「纏う。RILA」
Photography : 宮原夢画(Muga Miyahara Fotografia)
Styling : 小林新(高橋事務所)
Hair : JUNYA(高橋事務所)
Makeup : 遠藤真稀子(高橋事務所)
Text & Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design : 三森由美(united lounge tokyo)
文 鈴木利幸
纏う。
ある日突然、大事に身につけていたものを
脱ぎ捨てたくなることがある。
裸一貫という日本語はよくできている。
RILA
以前から、敬意を評してリラ先輩と僕は呼ぶ。
誰かが、そう言っていたのを聞いてそう、呼ぶことにした。
本人には、嫌がられているのだが。
数年前、日本からニューヨークへ渡って彼女は
様々なワールドキャンペーンなどを席巻した。
突如現れた日本のスーパーモデルは、ひどく陳腐な言葉だが
センセーショナルに世界のクリエーターを虜にした。
いろんな意味で、僕にとっては先輩だ。
身長が高いわけではない。もちろんショーに出るタイプのモデルでもない。
ただある意味、その容姿と強さはモデルの中での経済特区だったように思う。
彼女の代わりになるモデルも、近いモデルもいないはずだ。
リラは、オンリーワンだ。
世界中のフォトグラファーをはじめとするクリエーターが
様々な場面で彼女を求める。もの足りない日々のシューティングに
スパイスを足すように。
銀行員の家庭に育ったそうだ。
意外なはずでもないのだが、そう聞くと意外な気がする。
彼女を知らない人は、とても個性的だと感じるかもしれない。
個性的という言葉は、個性的でない。
とても、普通の女性だと感じることと、
普通ではないことを、普通に話す感じが面白い。
女性的であり、時に男性的でもあり。
日本人的であり、時にボーダーレスでもあり。
そういう無国籍さが見た目以上に彼女にはある。
RILA Fukushima、海外では、そう呼ばれることも多いという。
表現することを欲している。
それはモデルに限らずだ。女優?
いや、聞いているとそういう感じでもなさそうだ。
模索しているというよりは、「場」を探している。
リラという存在が必要とされる場を。
日本から、ニューヨークへ渡った。
いまは日本をベースにしているが
求められるものがあれば、何処へでも飛び
いつもふらっと世界のどこかにいる。
リラは、誰にも似ていない。
2011/06
BARFOUT! / 5月号 堂本剛
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 5月号 堂本剛【表1 FRONT COVER STORY1 堂本剛】
Direction & Lyric : 堂本剛
Photography : 沖村アキラ(D-CORD)
Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design of chief : 三森由美(united lounge tokyo)
Graphic Design : 仲山慎哉、林愛子、成瀬真也奈(united lounge tokyo)
2011/06
BARFOUT! / 5月号「纏う。市川実和子」
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 5月号「纏う。市川実和子」
Photography : 宮原夢画(Muga Miyahara Fotografia)
Styling : 小林新(高橋事務所)
Hair : JUNYA(高橋事務所)
Makeup : 遠藤真稀子(高橋事務所)
Text & Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design : 三森由美(united lounge tokyo)
文 鈴木利幸
纏う。
自分を自分以上に見せない。自分以下にも見せない。
他人に、求めない。依存しない。
彼女は、一番自分が動きやすいものしか纏っていない。
バブル後に現れた、まったく新しいモデルという名のアイコン。
なんとなく、市川実和子という女性はそういう認識だった。
不思議な存在感を放つ個性派モデルとして、
10代の彼女は時代を体現していた。
バブル後の、混沌としたサブ・カルチャー神話のミューズとして。
キレイなひと。会ってみるときっとそう感じる人が多いと思う。
身長は170cm。モデルとしては大きな方ではない。
では、かつてその顔立ちや佇まいから個性的と評されていた彼女は
なんだったのだろうと思うほど、印象が違っていた。
東京の公務員の家庭で育った。転勤も多かったという。
自分を持つ、自分を防御する。
そういう術を無意識に身につけていたんだろうな。そう思った。
たしかに彼女には壁がある。でも嫌な壁ではない。
話しているとき、それに気づいたのか。彼女が言った。
「話しにくいですか?」
どのくらいの撮影をこなし、どのくらいの雑誌の表紙を飾ったのか。
でも、自分が出ている過去の雑誌は持っていないという。
興味がないんだ、と。じゃあ、これから先は?
「わからない。行き当たりばったりだから」
彼女は、毎日を上書きしている。きっと過去には戻らない。
途中、「世の中の自分の見え方や、これからについて
考えたこともあるんです」と聞いた。
「でも、苦しくなるから、いつもすぐやめるんです」と。
自分で自分のこれからを縛っている感覚になるのだろうか。
いつも自由でいたいのだろう。大丈夫。自由に見えているから。
そして、自由であることが市川実和子をつくっている。
「結婚願望もないんですよね。なぜかはわからないんだけど」
でも、もし人生の中でそういうタイミングがくれば、
すぐに色んなことを決断していく人なんだ、と思う。
でも、それは市川実和子が決めていくわけでない。
稀に、まわりが色んなことを決めてくれる。
そういう流れを作り出すひとがいる。
だから、市川実和子は
愛してる、って言わない。
2011/06
BARFOUT! / 6月号「纏う。太田莉菜」
category: magazine - Brown’s Books - BARFOUT!
BARFOUT! / 6月号「纏う。太田莉菜」
Photography : 宮原夢画(Muga Miyahara Fotografia)
Styling : 小林新(高橋事務所)
Hair : JUNYA(高橋事務所)
Makeup : 遠藤真稀子(高橋事務所)
Text & Art Direction : 鈴木利幸(united lounge tokyo)
Graphic Design : 三森由美(united lounge tokyo)
文 鈴木利幸
纏う。
脱ぎ捨てることを覚悟した女性が
新しい命という永遠に脱ぐことのないものを
纏った。
太田莉菜は、子供を育てている今でも、ときに少女にも見える。
そのあやうさが、彼女の魅力なんだろう。
13歳で、モデルとしてデビューした少女は
10代の6年間で、様々な雑誌やコマーシャルをにぎわせた。
クリエーターの創造性を刺激する個性だった。
日本人の父と、ロシア人の母の間に生を受けた太田莉菜は
その見た目から、クールな表情や動きを求められることが多かったという。
実際に会うとよく笑う。よく話す。
雑誌やコマーシャルで見る印象とはずいぶんと違う。
はじめまして、で話しだすふたりの間を
気遣ってか、いろんなことを話してくれた。
妙にコンセプチャルな話をする。
普通に大学にも通っているから、すごく女の子な話もする。
無意識に、相手によって、いろんな世界を横断している
19歳のときに、仕事で行き詰まったと
教えてくれた。もうモデルを辞めたいくらいに。
同じタイミングで妊娠がわかったという。
なんの躊躇もなしに、彼女はそれを受け入れたそうだ。
だから、太田莉菜は20歳で、子供を授かった。
結婚をする。子供を授かる。
そのタイミングは、人によって様々だ。
彼女は、きっと直感型の人間なんだろうな。
生きてゆくことにおいて、大きなことも小さなことも
さらっと受け入れる。彼女の中では大きな決断でもなんでもない。
「私は、そういう人生なんだ」とすぐ思えたんだろう。
そして、クールと呼ばれ時代に愛されたモデルは、
もの言わないモデルという職業よりも
呼吸し、身体で演じる女優という職業の道を進もうとしている。
話しているときの太田莉菜は、決して目をそらさない。
合っているその視線をそらす勇気が、そのとき僕にはなかった。
太田莉菜には、なんだか、妙な色気がある。
目?しぐさ?
なんだろう。彼女は自分の吐き出す言葉に責任を持つように
噛み砕き、考え、懸命に話す。その姿、なのだろうか。
駆け足で毎日を生きているよね?
「そうですか?同じですよ、同世代の子と」
彼女の中では、友達たちと同じ歩測で生きている。
いま23歳。まだ23歳。同世代の女性は就職活動をしている。
太田莉菜も同様に、女優という名の仕事を選んだ。
でも、その仕事は、手取り足取り誰も教えてくれない。
ある意味、自分自身への解答を探し続ける。